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これでいいの?在宅医療 (その1)

高齢者を対象とした在宅医療のあり方が問われている。
 国は高齢化社会に対応し、医療費高騰を抑制するため、病院中心から在宅中心の医療への転換を掲げ、在宅医療の普及を強力に推進してきた。

 その普及策が思わぬ"副作用"を引き起こしているのだ。

 その典型例が「患者紹介ビジネス」と呼ばれるものだ。

患者紹介ビジネスとは、コンサルタントなどと称する仲介業者が訪問診療を行う医療機関や医師に対して、有料老人ホームなどの高齢者施設を紹介し、診療報酬の一部などから手数料を受け取るビジネスだ。高齢者施設を運営する事業者自らが患者を紹介して医師から手数料を取るケースも少なくない。

 医師にとって、一度に大量の患者が確保できる高齢者施設は非常にうまみのある存在だ。しかも、同一建物内で大量の患者を極めて効率的に診療できる。
 現在の診療報酬制度では、患者1人当たり月2回の訪問診療でも、5万〜8万円程度になる。1ヵ所で集中的に大量の患者を診れば、労せずして多額の診療報酬が入る。多少の手数料を支払っても、大量の患者を確保できるメリットの方がはるかに大きいのだ。

 しかし、肝心の患者にとっては、デメリットの方が大きい。

 医師に手数料を支払えば、患者は施設側に"囲い込み"される状況になりがちだ。そうなれば、患者は自由に医師を選べない。いわば、日本の医療の最大の利点ともいわれる患者の医療機関に対する選択権"フリーアクセス"が制限される格好になるからだ。さらに、短時間で流れ作業的な診療など質の低い医療、過剰な医療行為が行われる可能性が高くなる。保険財政の面からも問題が生じる。

 実際、厚労省の調査でも、併設診療所の医師による月2回の訪問診療を受けることが入居条件となっている施設などがあった。医師1人で1日当たり30〜60件程度、ほとんどの患者に対し月4〜5回訪問している施設もあった。

 さて、この患者紹介ビジネスは、根絶できるのだろうか。

 多くの医療関係者や介護関係者は

「絶対になくならないだろう」

と口をそろえる。

 
 そもそも医療法人が高齢者施設を運営、あるいは介護事業者が別法人の名目で診療所を運営していることが多いために、 はた目からはわからない。"抜け道"は多いのだ。

 高齢者施設の入居者や家族にとっても、いつでも駆けつけてきてくれる施設専門の主治医がいる。あるいは、施設に診療所が併設してあれば、心理的には非常に安心だ。
しかも、多少の不満はあっても、「普段、世話になっているのだから」と"引け目"を感じ、大目にみてしまうことが多い。
 一部の高齢者施設の事業者や医師は、その入居者や家族の心理につけ込み、医療の“押し売り”を行っている格好だ。

 かつては在宅医療ならば、多少は患者が納得いかない医療であっても、「わざわざ来て診てもらえるだけでありがたい」と寛容される時代が続いた。
 だが、在宅医療のあり方は大きな局面を迎えた。過剰な医療行為、資の低い医療行為は、淘汰されるべきだろう。
 (「週刊ダイヤモンド」編集部 山本猛嗣)一部抜粋

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私が家族を看取り学んだことは、「寿命とそろばん弾き」である。
健康寿命は延び介護が必要な生活となって20年も生きる・・・。

つづく



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